球を描いてみましょう2


では球の立体感を出してみましょう。
球を「明部」と「シャドウ」に分けたらとりあえず「シャドウ」を一様に塗ります。そのとき足元の(投影された)シャドウを一緒に描きます。
明部を日傘に例えると足元のシャドウの形が理解しやすいと思います。
次に
ボリュームを感じさせるには「明部」で勝負します。
視点を光源と重ねて明部を見るとトーンは中心から同心円上に広がるグラデーションとして観察されます。

sphere003

明部を横から見ると、トーンは光軸に対して扇形に広がるグラデーションに見えます。
a点から明暗境界線までだんだん暗くするにはどうすればいいでしょう?
このグラデーションを表すには光軸に直行するようなストロークが合理的ですね。
sphere004
シャドウには反射光が観察されるのがふつうです。
床や周りのものではね返った光がシャドウをボワ〜っと照らします。
つい明るくし過ぎですが反射光は控えめにしておきましょう。

以上のことををかなり模式的に描くと下のようなプロセスになります。

sphere006
上の模式図では足元のシャドウをステップ3で描き込んでいますが、ステップ1で描く方がベターです。

球を描いてみましょう1


次は球です。
まず輪郭となる「円」を描きます。
最初はなかなかうまく「円」が描けないと思いますが、無理をせずコンパスでガイド線を引いてその上をなぞってもいいでしょう。
私はどうするかと言いますと、ぐりぐり〜っと何重にも円を描き、その中から部分的に「ここは正しそうだ」という線を選んでひとつの円につなぎ残りを消します。

sphere001


この2次元の「円」を3次元の「球」に変換するのですが、ここで登場するのが「明暗境界線」です。
この境界線で明部とシャドウに分けるだけでもある程度の立体感が出ます。

sphere002
a点はライトに一番近い点です。

円柱を描いてみましょう2


ではトーンを付けて立体感を出しましょう。
手順は以下の通りです。(白い円柱とします)

1. 明部とシャドウに分ける
光が届く範囲の限界を明暗境界線(図中のT)といいます。そのシャドウ側にトーンを付けます。
このシャドウのトーンに関して、ストロークの方向はあまり重要ではありません。とりあえず一様に塗れればOKです。
enchu009

上から見るとこんな感じです。
enchu011

2. 明部のボリュームを出す
まず、光がやって来る方向をチェックします。
側面の最も明るい「列」(図中の a )は光源に対して正面を向いています。
そこから明暗境界線までだんだん暗くします。これをグラデーションと言います。
そのときのストロークは軸方向にするのが合理的でしょう。
enchu010enchu012


3. 足元の影も付けてあげましょう。
影の起点は明暗境界線と一致します。
(ちなみに側面へ補助的に周方向のストロークも使ってかまいませんが、必ずしも必要ではありません。そんな線は見えないのですから。)

まとめ。
enchu013
上の模式図では足元のシャドウをステップ3で描き込んでいますが、ステップ1で描く方がベターです。

円柱を描いてみましょう1

次は円柱です。
工業製品には円柱形の物が多く有ります。
これが描けるとボトルやコップ、花瓶などに応用できます。
切り口の「だ円」に関する感覚は皿などを描く時にも役立つでしょう。

まず、カタチです。
軸線を引いてから透かし描きをして断面の見え方の変化をイメージしてみましょう。
円柱の断面は「だ円」で、見下げる角度θが大きくなるほど「だ円」の厚みが増します。(底の弧がより丸みを帯びます)
下の図では A<B<C<D となっています。
また、「だ円」の端部がアーモンド型に尖らないように滑らかな曲線を引きます。
Pasted Graphic 1


切り口の「だ円」が眼の高さに有るときは下のようにみえます。
奇妙なカタチですが、そのまま受け入れましょう。

illustration_seccion



立方体を描いてみましょう2

下によくあるミスをふたつ挙げます。

illustration_mistake

立方体の平行な3辺は眼の高さにある消失点に向かって収束します。少なくとも奥の方で「いつか交わりそう」といった予感がしないといけません。
また、下の立方体のように側面が見えてる場合、接地している辺は紙面に対して角度がつきます。

cubes_web3

形が描けたらトーンを付けましょう。3つの面の明るさの順序を見極め、それぞれベタッと塗り分けます。
え?ストロークの方向? 好きな方向でかまいません。ストロークを辺に沿わせても沿わせなくてもOKです。
illustration_3tonesjpg

床に出来た影も忘れずに描きましょう。

illustration_castshadow

立方体を描いてみましょう1

「立体」の最も基本的な形として立方体が挙げられます。
別に立方体でなくても四角い箱なら何でも練習になります。
厳しい細部描写ではなく、箱形の物を
「だいたいそれらしく見せる」方法を追ってみます。

まず自分の目の高さを意識しましょう。
立方体をテーブルの上に置いてふつうに眺めた場合、眼の位置によって下の二通りの見え方のどちらかになります。(上下方向の消失点はここでは無視します)
illustration_eyelevel


ちなみに眼の高さが立方体の上面と一致するとこうなります。無理に見えない上面を描こうとしないで、ありのままの知覚を受け入れましょう。
illustration_eyelevel2

輪郭を描くときには「透かし描き」をしてみます。底面のみえない角はどうなっていますか?
transparent

立方体の奥が壁にめり込んだり、テーブルからはみ出していたら修正してあげましょう。
これらの透かし描きの線はあとで消してください。

transparent2